シルクスクリーンの名前の由来は絹(シルク)の幕(スクリーン)を張った枠を印刷の際に使用した事から「シルクスクリーン印刷」と呼ばれる様になりました。
型紙を使用した日本の捺染技法からヒントを得て、海を越えたイギリスで発展し、多色印刷が可能な「シルクスクリーン印刷」として定着しました。このシルクスクリーン印刷の名称が使われ始めて今日まで、約100年になります。その間、1960年代のアメリカではポップアートが流行し、シルクスクリーン印刷による版画の世界的な拡がりがあり、日本でも60年代、70年代と数多くの作家がこの印刷手法を試みました。
シルクスクリーン印刷とは版の種類では孔版の一種で、その名の通り孔(穴)を利用する印刷方法です。印刷に不要な箇所はインクが出ない様にスクリーンの目を塞いで版を作り、スキージと呼ばれるゴムやウレタンのヘラでスクリーンの織目からインクを押し出すことによって絵柄を印刷する技法です。
網目状の布地の織り目を利用して刷るシルクスクリーンは刷り上がりが反転しないことと均一な色の面を作る事ができるのが特徴です。手描きの線の効果もそのまま生かす事が出来、パターンや絵を描くだけでなく写真や活字など図像や文字がプリント出来るので、発想の組み合わせや使う材料による表現の違いも楽しむ事が出来ます。近年、インクジェットプリンターによるデジタルプリントなどの登場によって印刷の解釈も拡がりましたがそれによりシルクスクリーン印刷の新たな可能性を試される時代になりました。
シルクスクリーンは多種多様な素材に印刷出来る事で色々な分野に利用されています。その多岐にわたる可能性から、シルクスクリーン印刷は水と空気以外のあらゆる物に印刷できると言われています。
ところがその割には、あまり一般の人々にはシルクスクリーン印刷がどのような物なのか知られていないようです。印刷する被印刷物が紙などの平面は勿論の事、ガラスやプラスチック、合成樹脂、金属、布といった様々な素材に印刷する事が出来るのが特徴です。また、瓶やコップの様な円筒形、円錐形、更には曲面にも印刷することもできます。
私達の身近にある物では、ポスターやテキスタイル、旗、ステッカー、Tシャツや服の柄などといった他、看板、CD盤、プリント基板、標識などの工業製品にもシルクスクリーン印刷が使われています。
版からインクを「通過」させるシルクスクリーン印刷は、インクを被印刷物の上に「定着」させることで完成します。インクの厚みが被印刷物に盛り上がり、点字等で使用されている立体感を持った刷り上がりが生まれます。